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2011-02-09(15:21)

寝かせる

家づくりで最も大切なことは、家族のあいだにあるさまざまな意見を調整することです。家を建てようというのに、家族がバラバラな方向を向いていたのでは、計画は前にはすすみません。渡り鳥のようにいっせいに同じ方向を向くのはムリだとしても、可能な限り同じ方向を向くのが望ましいのはいうまでもありません。
そんなことはだれもわかっているのに、現実にはなかなかそうはいかない。たとえば、どこに建築を頼むかということをとってみても、選択肢はいくつもあって、そう簡単にはかないもの。
建築費の安さだけで選ぶのは簡単だけど、安易すぎてあとがコワイ。
かといって、ハウスメーカーに頼めばいちばん無難な気がするけど価格がねえ……。
工法にしてもいろいろある。説明を聞いているとどれも良さそうに思えてくるけど、ほんとうのところはよくわからない。
建築業者を決めるだけでもたいへんな作業なのです。
展示場めぐりをすればするほど、頭のなかはグチャグチャ。
だれが言いだしたのか、家づくりにおいて、いちばん決定権があるのは、中学二年生の女の子だという説があったりして、ますます混乱するばかり。
そんな方にちょっとしたヒントを三つ。

まずオススメしたいのは、あらかじめ家づくりの責任者を決めておくということです。事前に家族の意見を確認するのはいいとしても、みんなが勝手なことをいっていたら、まとまる話もまとまらなくなってしまいますよね。家族ひとりひとりの意見を寄せ合い、まとめるのが家づくりの責任者の役目です。なんとなくではなく、きちんと責任者を決めてください。
だったら、その役目は当然お父さんで決まりでしょう?
いやいや、そうとはかぎりませんよ。
女性のほうが家づくりに向いているという説もありますから、この役目を奥様に任せるという手もあるんです。
資金はお父さん、家づくりはお母さんの役目という具合に役割分担をしてもいいでしょう。とにかく、家づくりの責任者をはっきりと決めることです。

つぎに、なんのために家を建てるのかということをしっかり考えておくことです。これって、当たり前のようでいて案外見逃されているんです。箇条書きに書き出してみることをオススメします。そこで書き悩むようでしたら、まだまだ覚悟が足りませんよ。
隣近所に見栄を張ることなんかないんです。自分たちが快適に暮らすことが第一です。

そうこうするうちに待望のプランがなんとかできあがります。
さあ、いよいよ我が実現するぞ!

ちょっと待ってください。
その気持ちはわかりますが、あわててはいけません。
ここで三つ目のヒント。じつはこれがいちばんのポイントなんです。

プランができあがった時点で家づくりのことを、ひとまず忘れてみてください。つまり、しばらく「寝かせる」ということです。
料理をおいしくするために、「寝かせる」時間が必要なこともあります。
それと同じことですね。
そして、ワインのように熟成を待つのです。静かに寝かされていたアイデアが再び眠りから覚めたとき、いままで気づかなかったものが見えてきます。
そして,新たなアイデアをブレンドすることであなたの家づくりは一段と洗練されたものになるはずです。
必要なものと、必要でないものが見えてきたらしめたものです。
それからが、家づくりのほんとうのスタートなのです。
2011-01-07(09:40)

断熱と遮熱はどう違うの?(その2)

くりかえしますが、断熱材には、
熱を受け止めて室内側に熱を伝わるのを遅らせる役目しかありません。

例えば、ミトンを使えば、火に掛けた鍋も熱くありません。
しかし、掴みつづけていれば熱は徐々に伝わってきて、
やがては持っていられなくなります。

これと同じように、
断熱とは「熱が伝わるのを遅らせる技術」なのです。

さて反射による遮熱。
これも身近な家庭用品が教えてくれます。
台所にある調理用アルミホイルがそれです。

オーブンから焼きたてのローストチキンを取り出すとき、
足にアルミホイルを巻いておけば、熱線を反射してしまうので熱くありません。

住宅においても、建物に降り注ぐ熱線を反射し、
断熱材や建物に掛かる負荷が大幅に減少すれば、
いままでの断熱工事では解決不能だった問題が解決できます。

断熱材には蓄熱性があるわけで、
夏の夜に外気温が下がっても、天井や壁から輻射熱を放出し、
エアコンに頼らない限り寝苦しい夜になってしまいます。


ではどうすればいいの?

一般的な建材は熱線を85〜95%吸収してしまいますが、
銀、金、アルミニュームは高い反射率を持っています。

高断熱・高気密の断熱効果とあわせて、
このアルミニュームを家の外壁や小屋裏に使用すれば、
断熱材に与える負荷を大幅に軽減することができます。

とはいっても、遮熱材さえあれば断熱材なんかいらない、
というワケではありません。
遮熱材と断熱材の併用が望ましいのです。

遮熱材は万能のようだけど、問題はないの?
じつは弱点もあるんです。
湿気対策です。

アルミそのものには湿気を逃がす機能はありません。

そこで、どうするかというと、

膜状の繊維にアルミ成分を蒸着すれば、
繊維の隙間から湿気を逃がすことができ、
しかもアルミの遮熱性も保てる!

もちろん、これは私が考えたことではありません。
メーカーが知恵を絞って開発したものです。

その遮熱シートを使用すると、どれだけ効果があるのか?

2010年の猛暑は異常でしたね。
そんな最中に構造見学会をしたのですが、
遮熱シートのおかげで、室内は暑くありませんでした。

こんなことははじめてで、とても驚き、感激したものです。

遮熱シートは効果絶大!

実体験からそういいきることができます。


外壁や屋根の遮熱材には「反射」「防水」「透湿」の性能が不可欠です。
それと断熱性能を併用すれば鬼に金棒というわけです。

断熱や気密、遮熱、換気はバラバラでは力を発揮できません。
それらをバランスよく組み合わせることで、
快適で暮らしやすい住まいができます。

性能のいい断熱材を使用したからといって、
断熱性能の優れた住まいになるわけではないのです。

住まいは夏を旨とすべし。

兼好法師は「徒然草」でこのようにいっています。

家のつくりは、夏を基本とするのがよい。
冬はどのような家であっても住むことができるが、
出来の悪い家では夏の暑さに耐えることも難しいだろう。

なにいってるの。わたし冷え性なの!

なんて方もいらっしゃるでしょうが、
笑って許してください。

いまから680年も前に吉田兼好さんはそう言っているのです。

日本の住まいは、その頃とあまり変わっていないのかもしれません。

耳の痛い言葉ですね。
2010-11-15(11:44)

断熱と遮熱はどう違うの?(その1)

分厚い断熱材を使用しているから我が家は大丈夫。

あなたはそう思っていませんか?

じつは断熱材は家全体の熱量の20%程度にしか利いていないのです。
それと、これもビックリするかもしれませんが、
「断熱材」は熱を断つのではなく、熱を吸収して、
熱が伝わる時間を遅らせているだけなのです。

えっ、どういうこと?

夏、玄関を開けたとたん、「むっ」とした熱気を感じたことはありませんか?
じつは、この主な原因は断熱材なんです。
断熱材がせっせと熱を吸収したせいなんですね。

家を守ってくれるはずの断熱材が、これでは約束がちがうじゃないか。

じつは日本の高気密・高断熱の考え方はどこかおかしいのです。

勘の鋭い方はもう、おわかりでしょう。
「遮熱」という考え方がすっぽりと抜けていたのです。

アメリカでは早くからこのことに気づき、
1920年頃、住宅の熱損失の75%を占める輻射熱をカットするために
反射技術が取り入れられました。
一方で、日本では、なぜか熱移動の20%にすぎない伝導熱をカットするための断熱法が一般常識となってしまいました。このことは、欧米から見ても非常に不可思議なことに見えるようです。

中学生時代に習った理科を思い出して、おさらい。
熱の伝わり方には、
伝導、対流、輻射の3つがあります。

おっ、なんだか懐かしいなあ!
あの子、いまごろどうしているのかな……。

まあ、それはともかくとして。

住宅のなかで、熱はどのように伝わっているのか?

伝導・対流・輻射の熱の伝わり方の比率は、
伝導:20%、対流:5%、輻射:75%だといわれています。

太陽などからの輻射熱が大半を占めていることは、
直感でもわかります。

ここでとつぜんですが、ペンシルバニア州立大の報告を参照してみましょう。

従来から建物の熱損失の大半は伝導熱と対流熱によると考えられていましたが、
それはまちがいで、実際には、
ほとんどの熱損失は輻射熱によるもので、その量は全熱損失の75%を占める。
と報告しています。

このことはなにを意味しているのでしょうか?

つまり、断熱材を厚くしたり、熱伝導率を低くしただけでは快適空間は生み出せないということなのです

従来のグラスウールや発泡系材料でも、
それなりの効果がないわけではありません。

ただ、完全とはいえないのです。
にもかかわらず、断熱性能だけを追求する傾向がいまだに残っています。
じつは、断熱とか遮熱とか、熱をめぐる問題は、
非常にデリケートで難しいものなんです。

木造住宅で使われる建材のほとんどは反射率が低く、
屋内外の熱を吸収します。
そのなかでもいちばん熱を吸収する材料が、皮肉にも断熱材。

温度を下げる為に、エアコンで冷やそうとしても、
その冷熱のほとんどは建物の壁や天井などを冷やすことに消費され、
室内の空気を冷やすまでには相当の時間を要することになります。

一方、遮熱とは言葉通り熱を遮ることなんですが、
正確にに表現すれば、輻射熱を遮る、という意味になります。

夏涼しいという「うたい文句」を信じて、
「高断熱・高気密の家」を建てたものの、
「なんだよ、とても暑くてたまらないじゃないか」
期待はずれに怒っている人もいます。

ひたすら断熱素材の優劣や工法を競い、
ロックウールがいい、いやウレタンがいい、
外断熱がいい、いや内断熱のほうが……。

なかには、断熱材などいらない。
夏は暑くて、冬が寒いのは当たり前。
動物は冷暖房なんかなくても、ちゃんと生きている。
自然がいちばん!
なんて変わり者も。

ぼくなんかも、その一人かも……(笑)

住宅の熱損失の75%は輻射熱によるものです。
いくら熱伝導率の低い優れた断熱材を使っても、
輻射による損失はそのままですから、
断熱材だけでは快適な住まいにはならないのです。

高断熱・高気密だからといって、安心してはいられないのです。


次回につづく。
2010-09-21(16:46)

設計ってなに?

設計とはなにか?
沖縄出身の建築家・伊礼智さんによると、
一言でいえば、
「整理してまとめること」
だそうです。

なるほどねえ。

さすが一流の建築家。
むずかしいことを一言で「整理」してしまいました。

納得!

ちょっと長いですが、その伊礼さんの言葉をそのまま引用してみます。

「住まいは斬新である必要はなく、雑誌の切り抜きの集積のような安易なものでもありません。良くできた住まいとは、住まい手の個性やつくり手のエゴが表に出ず、多くの人たちの生活を許容するようなスタンダードな価値観を包容しているものです。ぼくはいつもお施主様に、要望はきちんとお聞きしますけど、それよりも敷地やご近所との関係、周辺環境を優先して設計しますとお伝えしています。その結果、できあがる家は、控えめで簡素な、そして良いたたずまいを持つ、滋味あふれる住まいとなります。それは決して単調で凡庸な家ではないのです」

というわけです。

考えさせられます。
とても深いです。

というわけで、今回は、伊礼さんの言葉にならって、
「整理してまとめる」ということを考えてみましょう。

住まいづくりについて、思いがいっぱいありすぎて、どこから手をつけていいかわからない。
こんなときは、まず、なんでもいいからその思いを書き出してみます。

たとえば、こんなふうに――。

建築予算は○○万円。38坪くらい。6帖の子供室×2。ただし子供が成長するまではワンルームでもOK。寝室は8帖以上で3帖のWIC付。キッチンは対面式。LDKは16帖。解放すればLDKと一続きになる畳スペース。2階にもトイレがほしい。ユニットバスは一回り大きめにしたい。狭くてもいいからウッドデッキ。収納スペースはできるだけ確保したい。できれば玄関は2Wayにする。室内犬用の滑らないフロアや、シャワー設備もほしい。ガーデニングスペースをどうするか? 浴室から坪庭を眺めるのはムリか? 畳の部屋には床の間+仏壇置き場。駐車スペースは2台分。やっぱりリビング階段がいい。リビングの一角にパソコンコーナーがあれば――。納戸。外観にこだわりたい。使い勝手を優先したい。断熱にこだわりたい。自然素材にこだわりたい。ホームシアターや音楽を楽しみたい。趣味の部屋をつくりたい。書斎や家事室がほしい。


全部書き出してみて、つぎに優先順位をつけてみます。
もちろん、最初は「だいたいこんなものかなあ」程度で十分です。
でも、それを何回も繰りかえしていると、
自分たちが求めているほんとうのものが見えてくるはずです。

それこそが、あなたが大切にしているものなのです。

家づくりはそこからスタートします。

あなたの要求をすべて満たすことは無理かもしれません。
でも、経験ある設計者なら、あなたの要求をきっと上手にまとめてくれるはずです。
そうしてできあがったプランを見てはじめて、
いままで気がつかなかったものが見えてくるかもしれません。

そうやって、修正を繰りかえしていくうちに、
あなたの夢を乗せた住まいづくりがうごきはじめるわけです。

住宅展示場巡りも悪くはありません。
ですが、ただ見て回るだけでは混乱するばかりで、
「なにがなんだかわからなくなった」
という声をよく耳にします。

それは、自分の求めているものが整理されていないからではないでしょうか。

そういう私も、この文章を書きながら、いったい自分はなにを伝えようとしてるのか、よくわからなくなってしまいました(笑い)

きっと、書きたいことを整理していないからですね。

反省m(_ _)m

これからは、伊礼さんにならって、書きたいことを整理してみるつもりです。
2010-07-09(17:07)

長期優良住宅ってなに?[その3]

先日、通勤途中にちょっとばかり危ない思いをしました。
いわゆる「ヒヤリ・ハット」な体験をしたわけです。
といっても、幸い人身ではなく、とても意外なあるモノだったのですが。

わたしがヒヤリとした相手は、さて、なんだったでしょうか?

交差点の信号待ちから解放されて、
クルマがいっせいにうごきだしたときのことです。
前方の路上になにかが見えました。
小石のようなモノが落ちているのです。

「おっ、石灰石の破片か?」

ここは石灰石の産地なので、そんなこともあるかな。
などと思っているうちに、妙なことに気づきました。

うん? なんか、動いているみたいだぞ。
変だな、石が動くはずはないし……。

石でも、轢くのはイヤなので、
ハンドルをすこしだけ中央線寄りに切って避けようとしたところ、

なんと、それがノロノロとわたしの車の方へ近づいて来るではありませんか!

やばい!

とっさにハンドルを切り足して、どうにか轢かずにすみましたが、
すれちがった瞬間、なんと、
それはまぎれもなくでした。

亀がのんきに朝の道路を横断しようとしていたのです。

後ろには数台の後続車がありました。

走りながらバックミラーで確認したところ、
どうやら亀は無事のようでした。
でも、道中半ば。
亀はまだ中央線を越えていません。
対向車線を車がつぎからつぎへと通りすぎていきます。

あいつ、無事に道路を横断できるのか?

気になってしょうがないのですが、
クルマの流れのなかでは、

オー、マイ、ガー!

とそのとき、フロントガラスを真っ白い鳥が横切っていきました。

こんどはなんと白鷺です。

「ツルは千年、亀は万年」とかいいますが、
「サギは千年、亀は万年」とは聞いたことがない。

う〜ん。めでたくもあり、めでたくもなし。かな?

おっと、こんなことを長々とほざいている場合ではない……(冷や汗)

というわけで。

鶴も亀も長寿の象徴。
長期優良住宅も、さしずめ、「長寿」な住宅というわけです。

こじつけ!
あの勇気ある亀に免じて、どうか許していただきたいm(_ _)m




なぜか?

ふつうの住宅と較べて、どこがどうちがうの?

まず、骨組みの強度がちがいます。
ふつうの1.25〜1.5倍くらい丈夫につくられているんです。
ますます凶暴になってくる台風や、
いつ襲ってくるかわからない地震に耐えられる十分な強さがあります。
それが耐震等級2もしくは3の意味です。

つぎに、劣化対策です。
カタチあるモノはいつか崩れていくわけですが、家も例外ではありません。
すこしづつ痛んで古くなっていくのは仕方ありませんよね。
それをすこしでも遅くするのが劣化対策なんです。
きちんとした劣化対策をしておけば、家は長持ちします。
長期優良住宅の劣化対策は等級3。
構造体が3世代(75〜90年)にわたってもつように設定されています。
具体的には、木材の防腐防蟻処置をしたり、
湿気が家のなかにこもらないように外壁通気工法にしたり、
小屋裏の換気を有効に設けたりします。

つぎに、断熱性能がちがいます。
次世代省エネ基準といって、
おおむね暖冷房費が20%低減でき、
欧米各国の定める省エネルギー基準と同程度のレベル。
この地域の住宅では最高級の性能になっているんです。
夏の日射を遮り、かつ室内の熱を逃がさないように
遮熱型LOW-Eペアガラスを使用します。
冷暖房の節約ができて、結露の発生を抑え、
快適な暮らしができるというわけです。
省エネルギー等級4。

さらに、家はつくっておしまいではありませんよね。
ちゃんとしたメンテナンスをすればするほど長持ちします。
家も人間と同じでなんですね。
いたわれば、いたわるほどきれいになるし、長持ちするんです。
長期優良住宅では、故障するとやっかいな水回りの点検や掃除がしやすく、
かつ修理がしやすいようになっています。
維持管理対策等級3。

以上、後半はちょっと固い内容になってしまいましたが、
長期優良住宅がふつうの住宅とちがうこと、
すこしはわかっていただけましたでしょうか?

それにしても、あの亀、なにを思って、
クルマが行き来する危険きわまりない道路を横断しようとしたのでしょうか。

ほんとに、無事に横断できたのでしょうか。
気になって仕方ありませんが、確かめるすべはありません。

勇気と無謀は背中合わせ。
でも、勇気がなければ無謀はできない。
せめて、勇気ある(?)亀にエールでも送りますか。

うっとうしい梅雨の、ちょっとしたミステリー。


さて次回は、
ドイツ仕様の新商品についてお話しさせていただきます。


よかったら読んでみてくださいねm(_ _)m

テーマ : 家を建てる
ジャンル : ライフ

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